2013年10月28日(月)
埼玉ナツルーの会でお馴染みの孤翼さんがサロンに遊びに来ました。
彼女はTwitterで知り合った他人ですが、かなり家が近所であることが判明してからはこうして数ヶ月に一度プチオフ会のようなものを開催しています。ちなみに埼玉ナツルーの会には現在あと2名メンバーがおり、共にナツルー関連でネットを通じて仲良くなりましたが、そのうちひとりは驚きなことに通っていた高校の後輩であることがわかったりして(わりと小規模な私立の女子校)、たまに集まるとナツルーの話などほとんどせずにただの飲み会になります。
今回は二人だったのでごはんを近所の中華料理屋で食べたあとは、サロンでだらだら過ごしました。スカイプでオンラインの人たちと通話状態にしたままだったので、図らずもオンラインオフ会状態に。
というわけで、さすがに1件しかないのはマズイと思い、しれっと10月の日記を追加しております。

2013年10月11日(金)
サロンのPCが起動して1分くらいするとフリーズして強制終了を余儀なくされるので、頭に来て新しいマシンを購入しました。
最低限のパーツだけで出荷してもらい、今まで使っていたPCからいろいろ移し替える作業をしたのだが、なんかもともと余っていた謎のパーツがいっぱいあったので、なんだかんだともう一台組み上がってしまいました。いざという時用にとっておきます。
さて、ニューPCだが、OSをインストールしないで送ってくれるサービスはなかったため、もとから使っていたSSDから起動させるためには、ついてきたHDDを空にしなければならない。はじめはとりあえずフォーマットしないまま全てのHDDをつないで、認識する順番だけ定義してやることで、ふたつのドライブにOSが入ったまま無理矢理使おうとしていた。XPのOSが入ったままの3つ目のHDDはそのままつないでも問題なかったので大丈夫かと思ったのだが、どうも起動の際にエラーがでまくってしまう。どうせOS以外なにもはいっていないのだからとフォーマットすることにしたのだが……。

以下、寸劇をお楽しみください。

その少年はサタと名乗った。
大きななりをしている割にちょっと気弱そうで、それでも精一杯の笑顔をオレに向けて言った。
「初めまして!あなたが僕のマスターですね!今日からよろしくお願いします!」
「あーはいはい、初めまして」
「見てくださいマスター!ほら、AT◯Kの最新版を入れてもらったんです!試用版ですけど……気に入ったら買ってみてください!僕、マスターのために賢くなりたいんです!」
「あー、これチェック外したつもりだったんだけどなあ。お前には別にIMEも辞書もいらないんだよ」
オレはつい目障りなそのショートカットアイコンをゴミ箱に投げ入れる。
「そ、そうなんですか、ごめんなさい、僕、余計なことして……。あっ、それなら動画を見ますか?音楽は?メディアプレイヤーを起動するので、初期設定をしてくださいね!マスターの好きなように……」
「……チッ、WMPなんざ誰が使うかよ。あーもう、いちいちセンターにつなぐんじゃねえよ、うぜえ」
「ご、ごめんなさいマスター……僕、プレイヤーはまだコレしか持ってないんです……。で、でも、マスターのお気に入りのソフトがあるなら、すぐにオンラインで探しますから……」
オレはふーっと息を吐きだした。
「……あのさ、せっかくだからと思ってなんとなく起こしておいて悪いんだけど、今のお前にまかせる仕事はないからさ」
サタは心底悲しそうな顔をした。
「そんな……どうしてですか、マスター。……僕、セキュリティソフトだってちゃんと入ってますよ?……試用版ですけど……そ、それに、今はまだこんなに無知ですけど、マスターの望む通りなんだってします!僕、まだまだたくさん覚えられる余裕があるんです。見て、ホラ、僕の脳はいま1/50くらしか能力を発揮してないでしょう?」
「あのな、よく聞け」
オレは好奇心でこいつを起動したことを少し後悔していた。
「ウチにはソリッドでステートな超速ドライブちゃんがいるんだよ。あいつは脳の作りが違う。お前の処理能力じゃ到底かなわねえ」
「……」
サタは黙って俯いた。
「でもな、欠点もある。あいつは頭の回転が速いぶん、覚えられることが極端に少ねえんだ。体は小さいし、おまけに病弱ときてる。無茶をさせるとすぐに壊れちまう」
「それでも……彼に任せるとおっしゃるんですか」
「……その通りだ」
サタは肩を震わせながらしばらくじっと口を閉ざしていたが、意を決したようにオレを見上げた。泣いているように見えたが、涙はでていなかった。……当然か。
「……僕は、消されちゃうんですね」
その言葉で、仏頂面を決め込んでいたオレの顔の筋肉がピクリと動いた。
「そうなんでしょ?マスター」
「……そうだ。これからお前の中にある記憶を消去して、脳の機能を停止させて……その身体の中にデータを詰め込む。あいつが自分の中に留めておけないデータをな」
「どうして……?僕を、ただの入れ物にするつもりなんですか……?ねえ、今の僕にだって、それらを起動させることはできます!見た目だって、マスターの好みになるように変えるし、多少不安定なソフトだってきちんと動かして見せるよ!だから……マスター、お願いだ、消さないで……お願い……」
オレはぐっと唇を噛み締めた。
「それは、無理だ」
「……出荷時にドス◯ラ博士と約束したんだ……"きちんと自分の役割を果たして、マスターに大切にしてもらうんだぞ"って……」
サタの声は弱々しかった。もう、受け入れるしかないと悟ったのだろう。
「……お前は、これから大きな役割を果たすよ、サタ。……安心しろ、壊れるまで大切にしてやるから」
スイッチに手をかけながら、オレはついガラにもなくそんな言葉を口にしていた。安っぽい映画みたいなセリフが救いになるとは到底思えなかったが、サタはその恐ろしく澄んだ目でオレをじっと見つめるばかりで、特になにも言わなかった。
シャットダウンの瞬間、サタはゆっくり目を閉じると、ふわりと微笑み、そしてかすかに唇を動かして囁いた。
「おやすみなさい、マスター」


という妄想で胸が締め付けられる思いでした。
実はこの後、PCを起動しようとするとどうしてもフォーマットしたはずのカラのHDDをOSとして認識しようとしてエラーになる謎現象に見まわれ、サタ君の怨念がようやく私を解放してくれたのは深夜を過ぎておりました。ごめんよ、サタ。

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